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ボードゲームの「アクワイア」とは?ルールや研修に活用するメリットを解説


目次
せっかく研修を実施しても、参加者が「受け身」の姿勢であったり、学びに対するモチベーションが低い状態であったりすると、あまり効果は得られません。参加者にもっと研修に対して前のめりになってもらうために、研修にボードゲームを取り入れてみてはいかがでしょうか。おすすめのボードゲームの一つに、「アクワイア」があります。
本記事では、「アクワイア」とはどのようなボードゲームなのか、ルール・進め方、研修に活用するメリットや、求められるスキル、研修に活用する際のポイントを紹介します。
ボードゲームの「アクワイア」とは
「アクワイア(原題:Acquire)」は、アメリカで生まれたボードゲームです。プレイヤーは、ホテルチェーンの合併や株の売買を行い、お金を稼ぎます。最終的に、一番お金を稼いだプレイヤーが勝ちというゲームです。
「アクワイア」は、シド・サクソン(Sid Sackson)氏がデザインしたゲームで、1960年代から販売されています。以降、ルールをマイナーチェンジしながら、60年以上にわたり世界中で愛され続けています。もともとは3M社からリリースされていましたが、権利の買収により販売メーカーが何度か変わってきた歴史があります。そのなかで、ルールやコンポーネントの素材も変化してきました。最新作は、ボードやコマもプラスチック製になっています。
「アクワイア」の日本語版は、アークライトゲームスから発売されています。
ボードゲーム「アクワイア」のルール・進め方
では次に、ボードゲーム「アクワイア」のルールや進め方を簡単に紹介します。
- 対象年齢:12歳以上
- プレイ人数:2~6人
- プレイ時間:約90分
最新版の「アクワイア」は、遊び方が2パターンあります。アークライトゲームスのオフィシャルサイトによると、原点に近いルールが「クラシックモード」で、2人でプレイするならこちらのルールとなります。そして、マイナーチェンジされた「タイクーンモード」は、このゲームで初めて遊ぶ人にもおすすめとされています。
「アクワイア」のメインボードには、座標が書かれています。同じように座標が書かれた建物コマがあるので、プレイヤーは建物コマを一つ引いて、メインボードの同じ座標が書かれた位置にその建物コマを配置します。そして、その上にホテルを建てたり、他のホテルを吸収・合併したり、株を売買したりして、お金を稼いでいきます。
「アクワイア」は、洞察力や計画性が試されるボードゲームですが、建物コマは裏返された状態(座標が見えない状態)で引くので、「運」の要素も大きいゲームです。戦略だけでは勝てないというのも、このゲームの面白いところといえるでしょう。
ボードゲーム「アクワイア」は社内研修にも活用できる
紹介したように、「アクワイア」はホテルの吸収・合併を行ったり、株を売買したりしてお金を稼ぐゲームです。戦略を練る面白さがあるため、子どもだけでなく大人にも人気があります。また、このような特徴から、社内研修にも適していると考えられます。
ここからは、「アクワイア」のようなボードゲームを社内研修に活用するメリット、「アクワイア」で求められるスキルと、研修に取り入れる際のポイントを解説します。
ボードゲームを研修に活用するメリット
研修にボードゲームを取り入れることで、以下のような効果が期待できます。
楽しい研修になる
「研修」と聞くと、「退屈」「話を聞くだけで眠くなる」などという印象を持っている人は結構多いものです。研修は、講義を聞くだけよりも、参加者自身が頭を使い、身体を動かしながら学べるプログラムがあるほうが、学びが定着しやすくなるといわれています。さらに「楽しい」要素があると、研修効果もより高まると考えられます。
ボードゲームを取り入れることで、研修が「楽しい」ものになり、研修効果の向上が期待できるでしょう。
モチベーションや主体性が高まる
退屈な研修よりも、ボードゲームのような「楽しい」要素がある研修のほうが、参加者の学びに対するモチベーションも高まりやすくなります。せっかく内容の濃い研修を実施しても、参加者のモチベーションが低いままでは、求める効果が得られない可能性が高いです。そうなると、研修にかけたコストも無駄になってしまいます。
また、講義やワークの前にボードゲームを実施することで、参加者の主体性も高まりやすくなります。姿勢が前のめりになり、その後のプログラムも集中して取り組んでくれるようになるでしょう。
参加者同士の交流を促せる
同じゲームに取り組んでもらうことで、自然にコミュニケーションが生まれます。ボードゲームは、参加者同士に交流を深めてもらいたい場合にも有効です。初対面の人が多い場合は特に、冒頭にゲームを実施することで、参加者同士が打ち解けやすくなるでしょう。いつも一緒に仕事をしている人同士であっても、ゲームを通していつもとは違う一面が見えることがあります。ゲームには、相互理解を深められるという効果もあるのです。
また、「楽しいこと」を共有することで、心の距離も縮まりやすくなります。研修が終わったあとも、参加した人同士の交流が活発になり、人間関係や職場環境の改善につながることも期待できます。
ボードゲーム「アクワイア」で求められるスキル
「アクワイア」は、その特徴からゲームを通して以下のようなスキルを学び、強化できると考えられます。
- 洞察力……他プレイヤーの動きから、資産や戦略を分析し、それを利用して最適な行動を選択する。
- 計画性……合併や株の売買などタイミングをコントロールし、自分が筆頭株主や2位株主になれるように調整する。
- 柔軟性……「運」の要素も大きいゲームであるため、計画通りに進まないときにも変化に柔軟に対応する、状況を分析して最善策を選ぶなど。
ボードゲーム「アクワイア」を研修に取り入れる際のポイント
ボードゲームを研修に取り入れる際は、「なぜ研修でこのゲームを行うのか」という目的を明確にし、参加者にも共有しておく必要があります。これをしないと、ただ「楽しかった」というだけで終わってしまい、求める効果が得られない可能性が高いでしょう。また、研修の効果を高めるためには、ゲームを実施したあとに振り返りの時間を設けることもポイントです。
そして、あらかじめゲームの実施時間を決めておくこともおすすめします。「アクワイア」のプレイ時間の目安は、お伝えしたとおり約90分です。結構ボリュームのあるゲームですので、勝敗がつくまで続けると、その他のプログラム(講義、ワークなど)の時間が短くなってしまいます。研修本来の目的を達成できるよう、時間のバランスも考慮する必要があるでしょう。
社内研修におすすめのボードゲーム
最後に、「アクワイア」以外の社内研修におすすめのボードゲームを紹介します。
1.SDGsビジネスゲーム「ワールドリーダーズ」
「ワールドリーダーズ」は、株式会社IKUSAが提供するSDGsを学べるビジネスゲームです。個人戦ではなくチーム戦(1チーム3~6名)なので、チームビルディングができるというのも、このゲームの特徴です。
ターンごとに、チームに労働力や資金、情報が与えられます。それらを使って利益を生み出し、最終的に最も多くの資金を稼いだチームが勝利となります。ただ、このゲームは利益ばかりを追求していても勝てません。SDGsは、経済・社会・環境の三つのバランスがとれた持続可能な社会の実現を目指す目標です。そのためこのゲームでは、社会や環境にも配慮しながら、長期的な利益を生み出すことが求められます。
ゲームを通して、SDGsにおける企業の役割、経営視点、戦略思考など、さまざまなことを学ぶことができます。
2.コンセンサスゲーム
「コンセンサスゲーム」は、優先順位の高いものから順に並べることをグループ内で議論するゲームです。
ポイントは、個人で考えた場合よりも、グループで議論して導いた回答のほうが正解に近づく可能性が高いこと。これによってグループで協力することの大切さを実感できるだけでなく、コミュニケーションを取ることでチームビルディングにも繋がります。
やり方はシンプルで、ある状況を想定し、そこで持ち運ぶものの優先順位を考えます。たとえば、海外の知らない土地に一人でいる状況を想定するならば、そこで必要と思うものに順位づけをします。スマホや地図、食料など、必要なものは少し考えただけでも思いつくと思いますが、どちらのほうがより重要度が高いのかを考えることはかんたんではありません。しかし、一人で考えていては間違ってしまうことも、グループで知恵を出し合って検討すれば、正解に近づける可能性が高まります。
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やり方
- 予期せぬ問題が発生する
- 対処法をまずは個人で考える
- 次にチームで対処法を考える
- 専門家の結論と比べ、自分のチームの対処法の妥当性を確認する
3.謎パ
謎パは、謎解きとパズルを組み合わせたチームビルディングゲームです。リアルでもオンラインでも実施できます。
みんなで協力して謎のかけらを集めたり、集まった謎を解いたりしながら、ミッションのクリアを目指します。協力して謎を解くことで、チームビルディングやモチベーションを向上させることができます。
また、複数のチームに分かれずに参加者全員が1つのチームになるため、参加者全員で一体感や達成感を味わうことができるのもポイントです。
やり方
- 各参加者に問題が配布される
- 他のメンバーとお互いの情報を共有して、謎を解く
- 謎を解き明かしたら次のミッションが発令される
- ミッションを全てクリアすると最終問題に挑戦し、ゴールを目指す
4.グレートチーム
「グレートチーム」とはリーダーシップとチームビルディングを学ぶことができるカードゲームです。
4〜5名で1チームとなり、疑似的なプロジェクト運営を行います。プロジェクトを実行し売上を達成するために、メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができます。
やり方
- プレイヤーは順番にプロジェクトに割り当てる人を決めていく(アサイン)
- 各プレイヤーはカードに書かれた内容に対して選択を行い再び割り当てを行う(リーダーズチョイス)
- 1~2を繰り返し最終的に売上げが一番高かったチームの勝利
グレートチームは、講義やワークと組み合わせることで、リーダーシップ研修としても活用できます。
5.ロケットPDCAチャレンジ
「ロケットPDCAチャレンジ」は、PDCAに関する講義・ワークを受けられる研修プログラムです。チーム戦で実施するロケット制作&改善アクティビティと、PDCA講義がセットになっています。
資金を使って部品の購入と発射テストを繰り返し、ゲーム終了時に、最小コストで月まで到達するロケットを作れたチームの勝利です。数千通りあるパターンから成功を導き出す中で、PDCAの過程を体感できます。さらに、アクティビティ実施後にPDCAに関する講義・ワークを受けることで学びが定着しやすく、すぐに業務に活かせる点が特徴です。
ロケットPDCAチャレンジの流れ
- 資金を使って部品を購入し、発射テストを繰り返す
- 数千通りあるパターンから成功を導き出す
- PDCAサイクルの概要を理解する
- 各チームで振り返りを行う
6.謎解き脱出ゲーム
謎解き脱出ゲームとは、チームで協力しながら謎を解き明かし、ミッションクリア(脱出)を目指すアクティビティです。
脱出するには、仲間と情報を共有しながら課題を解決する必要があります。そのため、普段の業務でも重要なコミュニケーション力や課題解決力の修得に役立つでしょう。
やり方
- 制限時間や閉じた空間の中で与えられた謎を解く
- 全ての謎が解けたらゲームクリア
株式会社IKUSAでは、企業研修に特化した謎解き脱出ゲームを提供しています。緊張感のある空間からチームで力を合わせて脱出を図るシチュエーションが特徴で、楽しみながら貴社のチームビルディングを図ることが可能です。
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7.カタン
「カタン」は、無人島を開拓してポイントを競うというボードゲームです(「カタン」はこのゲームにおける無人島の名前です)。チーム戦ではなく「アクワイア」のように個人で勝利を目指すゲームで、「カタン スタンダード版」の場合は3~4人でプレイします。
「カタン」は、自分の手番になったら二つのサイコロを振り、出た目に応じて資源を獲得できます。そして、獲得した資源を他のプレイヤーと交換したり、街道・開拓地の建設などを行ったりして、勝利条件を満たすことを目指します。
ゲームを通して、洞察力や交渉力、戦略思考などを学ぶことができるため、社内研修や学校の授業にも活用されています。
スタンダード版公式サイト:カタン スタンダード版 | 株式会社ジーピー
8.モノポリー
「モノポリー」は、メインボード上の土地を購入し、その土地を使って資産を増やしていくというボードゲームです。こちらも個人で競うゲームで、2~6人でプレイします。
「モノポリー」は、すごろくスタイルのゲームです。自分の手番になったらサイコロを振り、出た目の数だけマスを進みます。止まったマスがまだ誰も所有していない土地であれば購入することができ、誰かが所有している土地であればレンタル料を支払わなくてはなりません。その他細かいルールは多数ありますが、最終的に自分以外のプレイヤーを破産させることができれば勝利となります。
「アクワイア」同様に他のプレイヤーの動きを見ながら進めていく必要があるため、洞察力が求められます。また、交渉力や判断力、決断力なども試されるゲームです。
日本語版商品サイト:モノポリー クラシック – Monopoly | Hasbro
まとめ
「アクワイア」は、洞察力や計画性、柔軟性などが学べるため、社内研修にもおすすめです。ボードゲームを社内研修に活用することで、参加者のモチベーションや主体性が高まる、参加者同士の交流を促せるというメリットもあります。「もっと効果的な研修にしたい」と考えているなら、ボードゲームを活用することも検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事に記載の情報は、2025年3月時点の情報です。購入前に最新情報をご確認ください。
公式サイト:アクワイア – ボードゲーム | ArclightGames Official
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